テラ・アニマの物語へ、ようこそ。 前回は、パーティの「光」である、心優しきヒーラー「アルパカメイジ」の物語をお届けしました。彼女の癒しの光が仲間たちを照らすなら、今回ご紹介するキャラクターは、その光から少しだけ距離を置き、影の中から仲間たちを見つめる、もう一人の魔法使いです。
シリーズ第五話の主役は、レオのパーティで最もミステリアスな存在――**気まぐれ「クロネコウィッチ」**です。
「別に、仲間じゃないから」
「馴れ合うつもりはない」「勘違いしないで、ただの気まぐれだから」
それが彼女の口癖。 レオのまっすぐな正義を「暑苦しい」と一蹴し、フェネックの騒がしさにはやれやれとため息をつく。いつもパーティから少しだけ離れた場所を歩き、決して仲間たちと目を合わせようとはしません。
しかし、いざという時、誰よりも的確で強力な魔法が、いつも敵の背後から飛んでくることを、レオたちは知っています。 素直になれない、一匹狼の魔法使い。彼女がいつも一人でいたがるのには、その生い立ちに理由がありました。
雨の夜に拾われた、黒猫の記憶
彼女は元々、名前もない一匹の黒猫でした。 雨の降る夜、街の片隅で震えていたところを、一人の風変わりな魔女に拾われます。森の奥でひっそりと暮らすその魔女もまた、人と関わることを嫌う孤独な人物でした。
魔女は黒猫に名前も与えず、ただ気まぐれに食事を与えるだけ。しかし、黒猫にとって、魔女の書斎にある暖炉の前は、生まれて初めて手に入れた安心できる居場所でした。
魔女は黒猫に魔法を教えたりはしませんでした。しかし、好奇心旺盛な黒猫は、魔女が寝静まった後、書斎に忍び込んでは、積み上げられた難解な魔導書を遊び道具にしていました。ページをめくり、呪文の響きを真似ているうちに、彼女はいつの間にか、誰に教わるでもなく、自分だけのユニークな魔法を操れるようになっていたのです。
だがある日、魔女は「ちょっと出かけてくる」と言ったきり、二度と森に帰ってくることはありませんでした。 再び一人ぼっちになった黒猫。手に入れたはずの温かい場所を失った喪失感は、彼女の心に「誰かと親しくなっても、いつかいなくなる」という、消えない寂しさを刻みつけたのです。
「観察」という名の、不器用な優しさ
魔女のいなくなった森を出て、漫然と旅をしていたクロネコウィッチが出会ったのが、レオたちでした。 彼女は、彼らの旅に同行する理由を「興味深い魔法の観察対象だから」と嘯きます。
まっすぐすぎるレオの「守護」の意志。アルパカメイジからあふれ出す、純粋な「癒やし」の魔力。それらは、彼女が魔導書の中だけでしか知らなかった、理論では説明できない不思議な力でした。
「こいつらのそばにいれば、新しい魔法のヒントが見つかるかもしれない。それだけ。別に、仲間なんかじゃ…」
そう自分に言い聞かせながらも、焚き火を囲む仲間たちの輪から少しだけ離れた木の影で、彼女は昔、魔女の書斎で感じた暖炉の温かさを、思い出しているのかもしれません。 失うことを恐れるあまり、誰かと深く関わることから逃げてきた一匹の黒猫が、ようやく見つけ出した、新しい「居場所」。その温かさを素直に認めてしまうのが、彼女はまだ、少しだけ怖いのです。
ツンとした態度の裏に、誰よりも仲間を思う心を隠したクロネコウィッチの物語、いかがでしたでしょうか。
さて、次回はがらりと雰囲気を変えて、夢とロマンに生きる、あのキャラクターの物語です。彼女の瞳には、どんな世界が映っているのでしょうか? どうぞ、お楽しみに!

