テラ・アニマの物語へ、ようこそ。 前回は、純粋な「守りたい」という想いから、秘めたる力を覚醒させた「ウリボウサーカー」の、熱い物語をお届けしました。彼の強さが、本能から来る「肉体」の力であるならば、今回ご紹介するキャラクターの強さは、尽きることのない探求心から来る「知性」の力です。
シリーズ第十六話の主役は、「世界中の知識を読破する」という壮大な夢を追い求める、歩く図書館――**学びの「カメレオンラーナー」**です。
「知らない」ということを、知らないために
彼の口癖は「ほう、それは興味深い」。 カメレオンラーナーにとって、世界は一冊の巨大な本です。歴史、魔法、科学、芸術…あらゆるジャンルの知識を、彼はスポンジのように吸収していきます。彼の知的好奇心は、まるで底なし沼。一つのことを知れば、そこから派生する十の疑問が生まれ、彼の探求の旅は決して終わりません。
彼の特徴的な能力は、周りの色に溶け込むカメレオンの擬態だけではありません。彼は、読んでいる本の内容や、話している相手の専門分野に合わせて、自らの思考様式や言葉遣いまで「擬態」させることができます。歴史学者と話すときは古風な言葉で、錬金術師と話すときは化学式を交えて。これは、あらゆる知識を最も効率よく吸収するために、彼が独自に編み出した学習法なのです。
図書館で生まれ、世界という本を読みに旅立つ
カメレオンラーナーの故郷は、アストリア王国の大図書館そのものです。 彼は、古い魔導書の間に挟まっていた、どこから来たのかも分からない一冊の「卵の本」から生まれました。物心ついた時から、彼の周りにあったのは、インクの香りと、無限に広がる書架の森。彼は、言葉を話すより先に、文字を読むことを覚えました。
図書館にあるすべての本を読破することが、彼の最初の夢でした。しかし、何年もかけてそれを達成した時、彼は喜びよりも、ある種の渇望を感じていました。 本に書かれているのは、誰かが経験した「過去」。本当に知りたいのは、今この瞬間も変化し続ける「世界」そのもの。本の中の知識と、現実の世界との間にある、埋められない溝。 「この世界のすべてを知るには、この足で世界という本を読みに行かなければならない!」 彼は、その大きなメガネのほこりを払い、まだ見ぬ知識を求めて、生まれて初めて図書館の外へと旅立ったのです。
天才錬金術師への、尽きない敬意
そんな彼が、旅の途中で最も敬意を抱くようになった存在。それが、同じアストリアで研究を続ける**研究家「ハムケミスト」**です。
カメレオンラーナーが、既存の知識を「集め、体系化する」天才であるならば、ハムケミストは、その知識を応用して、世界にまだないものを「創造する」天才です。 二人は出会うべくして出会った、知性の探求者。今では定期的に手紙を交換し、互いの発見について、何日もかけて議論を交わす最高の学友となりました。カメレオンラーナーは、ハムケミストの「世界を少しだけ幸せにする」という研究姿勢に、知識の新しい可能性を見出しています。
知識は力なり。しかし、彼はその力をひけらかすことはありません。ただ、世界のすべてを知りたい。その純粋な探求心だけが、今日も彼を新たな一歩へと突き動かしています。
さて、知性の探求の物語から一転、次回は、己の肉体と精神を極限まで鍛え上げる、求道者の物語です。ヒノモト皇国の山寺で、**拳法家「くまモンク」**は何を思うのか。 どうぞ、お楽しみに!

