テラ・アニマの物語へ、ようこそ。 前回、魔王軍の砦「氷結の牙」に潜入したレオたちは、囚われの「カナリアン」と「フラミン」の救出に成功しました。しかし、再会を喜ぶ間もなく、砦の司令官である巨大な魔物が、怒りに燃えて一行の前に立ちはだかります。
「侵入者どもめ! 我が『呪いの演奏会』を邪魔しおって…全員、ここで氷の塵と化すがいい!」
司令官がその巨大な戦斧を振り上げた、その時。 救出されたばかりのカナリアンが、静かにリュートの弦を弾きました。
希望の歌、反撃のメロディー
それは、彼が砦で奏でていた絶望の歌とは、似ても似つかないものでした。 激しく、力強く、聞く者の心の奥底にある「勇気」を奮い立たせるような、希望の戦歌。
「…ボクの歌を、仲間を苦しめる道具にし、」 カナリアンが静かに歌い始めると、パーティ全員の体に、魔力がみなぎっていくのが分かります。
「ボクの相棒(フラミン)を、見世物にした罪…」 その声に応えるかのように、隣で涙を拭ったフラミンが、すっくと立ち上がりました。彼女の瞳には、もはや屈辱の色はありません。あるのは、すべてを焼き尽くすかのような、情熱の炎だけ。
「―――そのすべてを、今ここで、後悔させてあげるよ!」
カナリアンの歌声が最高潮に達した瞬間、フラミンが大地を蹴りました。
炎と音の、デュエット
「な、なんだあの踊りは!?」 兵士たちが驚愕します。 フラミンのステップは、もはや単なる踊りではありませんでした。カナリアンの奏でる「希望の歌」の魔力を、その身に受けて増幅させ、情熱的な「反撃のステップ」へと変えているのです!
彼女がステップを踏むたび、その足元から灼熱の炎が舞い上がり、砦の「黒い氷」を次々と溶かしていきます。
「す、すごい…!カナリアンさんの歌が、私たちの力を引き上げてくれる!」 アルパカメイジの癒しの光が、より一層強く輝き始めます。
「クク…面白い。あの歌、こっちの魔力も増幅してくれるみたいだね」 クロネコウィッチが放つ影の拘束魔法が、倍以上の大きさになって兵士たちを縛り上げます。
「今だ!一気にカタをつけるぞ!」 レオの号令が響きます。
「ボクに指図するな、騎士! あのでかいのは、ボクの獲物だ!」 屈辱から解放されたリルドラの槍が、音速を超えて砦の司令官に突き刺さります。
「グオオオッ! 小賢しい真似を!」 司令官が戦斧を振り下ろしますが、その攻撃はレオの盾によって完璧に防がれ、ウルフマスターとホークアーチャー(もし彼らがいたら)を彷彿とさせるような、フェネックとコンすけの連携が、その隙を逃しません。
「おっと、がら空きだぜ!」「膝の裏、もらった!」 二人の短剣と魔法剣が、司令官の体勢を崩します。
そして、とどめの一撃。 カナリアンが、すべての想いを込めて、一つの音を奏でます。 それに合わせ、フラミンが、天を衝くかのような華麗な跳躍から、燃え盛る炎のキックを、司令官の持つ戦斧の中心へと叩き込みました!
「―――これが、私たちの『芸術』よ!」
キィィィン!という甲高い音と共に、呪いの魔力が込められていた戦斧は、その氷と共に砕け散りました。
砦からの脱出
司令官が倒れたことで、兵士たちは統率を失い、逃げ惑います。 「今だ!水路から脱出するぞ!」
レオの掛け声と共に、8人となった一行は、再び水路へと飛び込みます。 彼らが砦から脱出した直後、呪いの力の供給源を失った「氷結の牙」は、轟音と共に崩れ落ち、ただの氷の瓦礫へと還っていきました。
荒涼とした北の大地で、一行はつかの間の休息を取ります。 カナリアンとフラミンは、仲間たちに深々と頭を下げました。 「二人とも、本当にありがとう。君たちがいなければ、私たちは…」 「礼には及ばん。だが、これで8人。ますます騒がしくなりそうだな」とコンすけが肩をすくめます。
こうして、最強の「後方支援」を手に入れたレオたち。 しかし、彼らの前には、先ほど崩れ落ちた砦とは比べ物にならない、本物の脅威――天まで届くかのような、巨大な「氷の壁」が、その全貌を現していました。次回、「異世界転生キャラたちの冒険 第9話:そびえ立つ氷壁と、謎の求道者」 どうやって、あの壁を超えるのか? そして、彼らの前に現れる、意外な協力者とは…? どうぞ、お楽しみに!

