テラ・アニマの物語へ、ようこそ。 前回、レオたち一行は、魔王軍の砦「氷結の牙」に、かつての仲間である「カナリアン」と「フラミン」が囚われていることを知りました。二人の絆を利用し、呪いを増幅させるという、魔王軍の非道なやり方。レオの心は、静かな怒りに燃えていました。
「必ず、二人を救い出す」
フェネックが見つけた汚水排出路。それが、6人の仲間たちの唯一の侵入経路でした。
闇を切り裂く、六つの影
作戦は、月が雲に隠れた真夜中に決行されました。 先頭を行くのは、クロネコウィッチ。彼女が放つ冷気の魔法が、汚水路の濁流を音もなく凍らせ、一行の足場を作ります。
「チッ…こんなドブネズミみたいな真似、趣味じゃないんだけど」 ぼやきながらも、その魔法制御は完璧です。
続くフェネックとコンすけが、道中の仕掛け扉や魔力トラップを次々と解除していきます。 「おっと、こりゃ古典的な圧殺トラップだ。コンすけ、3秒だけ魔力供給を止めて!」 「了解。3…2…1…今だ!」 二人の阿吽の呼吸が、鉄壁のはずの砦の守りをいともたやすく突破していきます。
後方では、レオ、アルパカメイジ、そしてリルドラが、万が一の奇襲に備え、神経を研ぎ澄ませていました。 「まだか…まだボクの槍の出番じゃないのか!」と逸るリルドラを、「静かに。我々の目的は、救出だ」とレオが制します。
響き渡る、絶望の歌声
長い水路を抜けた先は、砦の中央広場へと続く、薄暗い貯蔵庫でした。 兵士たちの下品な笑い声と、何かに鞭を打つような音。 そして、そのすべてを切り裂くように、あの切ない歌声が響いてきます。
「…カナリアンさん…」 アルパカメイジが、その声に含まれる深い絶望に、思わず息を呑みます。
レオが合図し、一行は音もなく広場へと続く扉の影から、中の様子を伺います。 そこは、彼らが想像した通りの、地獄のような光景でした。
広場の中央には、二つの檻。 一つの檻では、カナリアンが、虚ろな瞳でリュートを奏でています。 そして、もう一つの檻の下にある小さな舞台では、フラミンが、魔物の兵士に鞭で打たれながら、涙を流して踊ることを強制されていました。 「さあ、踊れ!お前の相棒の歌に合わせて、もっと美しく踊るんだ!」 「歌え、吟遊詩人!お前の悲しみが、我らが魔王様の力となるのだ!」
「…許せない」 レオの体から、静かな闘気が立ち上ります。
「リルドラ、君の力を借りる」 レオは、激情を抑えた冷徹な声で、仲間に指示を出しました。 「あの檻を吊るす鎖を、一撃で断ち切れるか」
「ふん、誰に言ってる。あんなもの、お安い御用だ!」 リルドラは、この瞬間のために溜め込んだ全ての力を、その槍の穂先に集中させました。
奇襲、そして再会
「今だ!」
レオの号令と共に、リルドラの体が、竜のオーラをまとって砲弾のように飛び出します。 「ボクの誇りをコケにした罪、その一部を、まずは貴様らで償え!」 轟音と共に、二つの檻を吊るしていた極太の鎖が、一瞬で断ち切られました。
「な、何奴だ!?」 兵士たちが混乱する中、残る5人が一斉に広場へとなだれ込みます。
「フェネック、コンすけは雑魚を!クロネコウィッチは後方支援!」 「アルパカメイジは、檻の落下地点へ!」
アルパカメイジが展開した癒しの魔法陣が、落下する檻の衝撃を和らげます。 「フラミンさん!カナリアンさん!」 檻の扉をこじ開けると、二人は、信じられないものを見るような目で、仲間たちの姿を見つめていました。
「アルパカ…ちゃん…?それに、レオ…さんたち…?」 フラミンの瞳から、安堵の涙が溢れます。
しかし、再会を喜ぶ暇はありませんでした。 「侵入者だ!全員、殺せ!」 広場の奥から、一際大きな体を持つ、砦の司令官らしき魔物が、巨大な戦斧を構えて現れます。
「チッ、面倒なのが出てきたな!」 コンすけが舌打ちします。
その時、立ち上がったカナリアンが、リュートを構え直しました。 彼の瞳からは、先ほどまでの絶望の色が消え、静かな、しかし燃えるような怒りの炎が宿っていました。
「…ボクの歌を、仲間を苦しめる道具にし、ボクの相棒を、見世物にした罪…」 彼が弦を弾くと、先ほどまでの悲しいメロディーとは全く違う、力強く、鼓舞するような戦いの歌が、広場に響き渡りました。 「―――そのすべてを、今ここで、後悔させてあげるよ!」
その歌声を聞いた瞬間、レオたちの体に、新たな力がみなぎっていくのを、誰もが感じていました。
ついに再会を果たした、二人の芸術家。 彼らを仲間に加えた8人は、怒れる砦の司令官を打ち破り、この氷の牢獄から、無事に脱出することができるのでしょうか。
次回、「異世界転生キャラたちの冒険 第8話:希望の歌、反撃のステップ」 カナリアンとフラミン、二人の力が合わさった時、奇跡が起こる! どうぞ、お楽しみに!

