テラ・アニマの物語へ、ようこそ。 前回、レオたち一行は、大森林エルドリアの守護者である「ウルフマスター」と「ホークアーチャー」との、緊迫した出会いを果たしました。
「森の最深部にある『聖なる泉』が、汚染されている」
森の王たちの案内により、彼らはついに、森の全ての生命の源であり、呪いの発生源となってしまった「聖なる泉」へと足を踏み入れます。
闇に沈む、聖なる泉
彼らがたどり着いた場所は、かつての神聖な面影を失っていました。 本来ならば、月の光を浴びて清らかに輝くはずの泉の水は、ヘドロのように黒く濁り、不気味な魔力の脈動を放っています。そして、その泉の中心部では、あの「黒い氷の欠片」が、まるで心臓のように鼓動しながら、汚染を広げていました。
「ひどい…森の生命が泣いています…」 アルパカメイジが、そのあまりにも濃密な「苦しみ」のオーラに顔を歪めます。
「間違いない。すべての呪いはここから流れ出ている。だが、どうやって泉の中心部まで…?」 コンすけが、泉の対岸にある祭壇に目を向けた、その時でした。
「あれは…誰だ!?」 ホークアーチャーの鋭い声が響きます。
泉の中心、黒い氷が渦巻く祭壇の上に、一人の小さな影がうずくまっていました。その姿は、高熱にうなされるように苦しげに震え、体からは黒いオーラが溢れ出し、泉へと流れ込んでいます。
「あの姿…間違いない。噂に聞いたことがある。大陸一の称号にこだわり、強さを求めて修行を続けるという…飛翔ドラグーン『リルドラ』!」 コンすけが、その影の正体に気づき、驚愕の声を上げました。
竜の影と、嘲笑う声
なぜ、彼がこんな場所に? レオが戸惑う間もなく、祭壇の上にもう一つの影がゆらりと立ち昇りました。それは、実体を持たない、闇そのものでできたような人型の「影」でした。
「ククク…まさか、ここまで辿り着くとはな。アストリアの騎士御一行様」
影は、嘲笑うかのように言いました。 「このチビ竜、扱いやすくて助かったぞ。『泉の力を取り込めば、アストリアの騎士を超える力が手に入る』とそそのかしてやれば、喜んでこの祭壇に飛び乗ってくれた」
「貴様、何者だ!」レオが剣を構えます。
「我らは、偉大なる魔王様の先兵。お前たちがこの森で手間取っている間に、呪いはすでに大陸全土に広がりつつある」 影は続けます。「このチビ竜は、呪いを増幅させるための、優秀な『電池』になってもらった。そのプライドと強さへの渇望が、呪いの力を何倍にも強めてくれたわ!」
「リルドラを利用したのか!」 レオの怒りが爆発します。
聖域の決戦
「さて、仕事は終わった。あとは、この哀れな竜騎士もろとも、泉の底に沈むがいい」 影が手をかざすと、黒い氷が意志を持ったように、レオたちに襲いかかります。
「散れ!」「援護します!」「こいつ、実体がない!?」 レオの剣が空を切り、フェネックの短剣がすり抜けます。
「魔法で動きを封じる!」 クロネコウィッチが詠唱を始めると同時に、ホークアーチャーが影の核らしき部分を寸分違わず射抜きますが、影はすぐに再生してしまいます。
「アルパカメイジ!泉への汚染を止めるには、リルドラを祭壇から引き剥がすしかない!」「でも、あの呪いのオーラが強すぎて、近づけません…!」
その時、森の王ウルフマスターが、レオに向かって吠えました。 「騎士よ!我らが道を作る!お前はその『光』の剣で、あの竜を繋ぐ呪いの鎖を断ち切れ!」
ウルフマスターと森の獣たちが一斉に影に飛びかかり、その動きを封じます。 「今だ、レオ!行け!」
「うおおおおっ!」 レオは盾を構え、黒い氷の攻撃を弾き飛ばしながら、泉の中心へと突進します。 「目を覚ませ、リルドラァァァ!!」
レオが、リルドラの胸に突き刺さるように輝いていた「呪いの欠片」の本体に、渾身の力を込めて剣を叩きつけました。
甲高い悲鳴と共に、「呪いの欠片」は砕け散り、影もまた「おのれ…だが、もう遅い…」という言葉を残して霧散します。 呪いの供給を断たれたリルドラは、気を失ったまま、祭壇から崩れ落ちました。
泉の濁りは、ゆっくりと浄化を始めましたが、森全体が回復するには、長い時間がかかりそうです。 そして、レオたちの腕の中には、傷つき、昏睡する、かつての「ライバル」がいました。
影が残した「もう遅い」という言葉の意味とは? そして、リルドラは、彼らを敵とみなすのか、それとも…?
次回、「異世界転生キャラたちの冒険 第5話:目覚めた竜騎士と、新たなる旅路」 プライドを傷つけられたリルドラの反応は?そして、一行はついに魔王の影が潜む、本当の「北」へと向かいます。 どうぞ、お楽しみに!

