テラ・アニマの物語へ、ようこそ。 前回、処刑場での激闘を制し、シバマルとパロットマイムを救出したレオたち一行。 次なる目的地は、魔王の城の上層階に位置する「禁断の書庫」です。
そこには、アストリア王国から連れ去られた二人の天才が、捕らえられているはずです。
知識の迷宮
城の螺旋階段を登りきった先に広がっていたのは、想像を絶する光景でした。 天井が見えないほど高い空間に、無数の本棚が空中に浮遊し、まるで迷路のように入り組んでいます。
「うわぁ、目が回りそう…」 フェネックが天井を見上げて呟きます。
「ここが『禁断の書庫』か。魔王軍が集めた、世界中のあらゆる知識…そして禁忌の魔法が眠る場所だ」 ホークアイが警戒を促します。
その時、書庫の奥から、聞き覚えのある声が響いてきました。 「なるほど、つまりこの魔方陣の構成式は、逆位相の魔力を利用しているのか…興味深い!」 「ふむ、こちらの古文書には、また別の解釈が載っていますね。比較検討が必要です」
レオたちが声のする方へ駆け寄ると、そこには巨大な檻の中に閉じ込められているはずなのに、なぜか楽しそうに議論を交わしている二人の姿がありました。 研究家**「ハムケミスト」と、学びの「カメレオンラーナー」**です。
知識の番人との知恵比べ
「ハムケミスト殿! カメレオンラーナー殿! 無事ですか!」 レオが声をかけると、二人はキョトンとして顔を上げました。 「おや、レオ君じゃないか。無事も何も、ここは宝の山だよ!」 「ええ、未知の知識の宝庫です。帰るのが惜しいくらいですよ」
彼らは捕らえられている恐怖よりも、知的好奇心が勝ってしまっているようです。 しかし、そんな呑気な空気を切り裂くように、書庫の主が現れました。
「静粛に願おうか、ネズミども」
現れたのは、全身が本のページで構成されたような、奇妙な姿の魔人**「ライブラリアン」**。 「ここは知識の聖域。力なき者が足を踏み入れることは許されない。貴様らの命、この本のインクに変えてくれよう」
ライブラリアンが手を振ると、周囲の本棚から無数の本が飛び出し、鋭い刃となってレオたちに襲いかかります。 「くっ、物理攻撃が効かない!?」 リルドラの槍も、シバマルの刀も、本でできた体をすり抜けてしまいます。
知識には、知識を
「力でねじ伏せるのは野蛮ですね」 檻の中から、ハムケミストが眼鏡を光らせました。 「この魔人の構成要素は『紙』と『インク』、そして『論理』だ。物理的な衝撃よりも、論理的な矛盾に弱いはず」
「なるほど、そういうことでしたか」 カメレオンラーナーが即座に理解し、叫びました。 「コンすけ君! 君の魔法剣で、あの魔人の『属性』を書き換えてみてくれ!」
「属性を書き換える? 無茶言うねぇ」 コンすけは苦笑いしながらも、即座に反応します。 「フェネック! 奴の注意を引いてくれ!」 「任せて! こっちだよ、本のお化け!」
フェネックが走り回り、ライブラリアンが気を取られた一瞬の隙に、コンすけが魔法を纏わせた剣を突き出します。 「書き換えコード…『燃焼』!」
しかし、魔人の体は燃え上がりません。 「無駄だ! 私の知識は耐火魔法で守られている!」
「いいえ、燃やすのではありません」 ハムケミストが不敵に笑います。 「インクの成分を分解し、ただの『水』に戻すのです!」
カメレオンラーナーが続けます。 「そして、紙は水に濡れれば…どうなりますか?」
コンすけの剣から放たれたのは、炎ではなく、錬金術を応用した分解の光。 それが魔人に直撃した瞬間、魔人の体を構成していたインクがみるみるうちに水へと変わり、紙の体がドロドロに溶け崩れていきました。
「な、何だと…!? 私の知識が…溶けていく…!?」 ライブラリアンは、悲鳴と共に崩れ落ち、ただの濡れた紙屑の山となりました。
知恵と知識の連携プレイで、見事、書庫の番人を撃破した一行。 解放されたハムケミストとカメレオンラーナーを加え、パーティは総勢14人となりました。
「さて、次はどこだ? もう城の頂上も近いはずだ」 レオが上を見上げると、そこには、不自然なほど静かな庭園が広がっていました。
次回、「異世界転生キャラたちの冒険 第16話:空中庭園の誘惑と、眠れる森の賢者」 そこは、訪れる者を永遠の眠りへと誘う、美しくも危険な花園でした。 どうぞ、お楽しみに!
