テラ・アニマの物語へ、ようこそ。 前回は、アストリア王国の若き騎士「レオ」と、彼を取り巻く仲間たちの物語をお届けしました。その中で、レオが唯一「好敵手」と認める、遠い国のサムライの存在に触れたのを、覚えているでしょうか。
シリーズ第二話の主役は、そのレオの好敵手。大陸の東方、ヒノモト皇国に生きる、義に厚き武士――**忠犬サムライ「シバマル」**です。
主君に捧げた、揺るぎなき忠義
ヒノモト皇国において、「武士(もののふ)」とは、単なる戦士を意味する言葉ではありません。それは、己を律し、主君に仕え、民を守るという、揺るぎない信念そのものを指します。 そして、シバマルほど、その武士道を体現する者はいないと、国中の誰もが口を揃えます。
彼の過去を知る者は、多くありません。 ただ、かつて若き日の彼が、仕えていた城主を盗賊団の襲撃から守るため、たった一匹でその刃の前に立ちはだかったという逸話は、今も皇国で語り継がれています。その傷だらけの忠義に心打たれた刀鍛冶が、彼のためだけに打ったという一振りの刀。それ以来、シバマルはその刀を、亡き主君の魂として携え、ただひたすらに「義」の道を歩み続けてきました。
彼は多くを語りません。その行動と、曇りなき瞳が、彼のすべてを物語っています。
神秘の国「ヒノモト」の住人たち
シバマルが暮らすヒノモト皇国は、独自の文化と、精神性を重んじるキャラクターたちが暮らす神秘的な土地です。
- 忍びの「ホークアイ」(影の協力者) 表舞台で国を守るシバマルとは対照的に、影に生き、諜報活動を主とする忍びの一族。その中でも随一の実力者であるホークアイとは、奇妙な協力関係にあります。シバマルは、ホークアイがもたらす情報によって幾度となく国難を救い、ホークアイは、シバマルの実直な剣が、自分たちの暗躍を支える光であることを知っています。言葉を交わすことは少なく、互いの実力だけを認め合う、プロフェッショナルな関係です。
- 拳法家「くまモンク」(求道者) 人里離れた山寺で、ただひたすらに己の拳を鍛え上げるストイックな求道者。俗世と距離を置く彼ですが、シバマルの噂は耳に届いています。「義」のために振るわれる剣と、「理(ことわり)」を求める己の拳、どちらがより高みに至れるのか。くまモンクは静かに闘志を燃やしています。
- のんびり「パンダジオ」(大いなる賢者) シバマルが唯一、師と仰ぐ存在かもしれません。ヒノモトの奥深く、仙人が住むと伝わる竹林でのんびりと暮らす賢者。武士として常に己を張り詰めているシバマルは、月に一度この賢者を訪ね、ただ共に茶を飲み、風の音を聞きます。パンダジオは何も教えませんが、その悠然とした姿に触れることで、シバマルは凝り固まった心を解きほぐし、剣の道を見つめ直すのです。
忘れ得ぬ、好敵手との出会い
そんなシバマルの心に、今も鮮烈に残る記憶。それは、西の大国アストリアの騎士との、一度きりの邂逅です。
国境で起きた小さな小競り合い。互いの国の民を守るため、二人は刃を交えました。 相手の騎士――レオの剣には、迷いがありませんでした。それは、私欲のためではなく、ただひたすらに仲間を守らんとする「守護」の剣。その剣筋は、シバマルが信じる「義」の剣と、驚くほど似ていたのです。
戦いは、すぐに終わりました。しかし、互いの胸には、言葉にならない敬意と、再び相まみえたいという熱い思いが刻まれました。 「アストリアに、レオという騎士あり」 シバマルにとってレオは、いつか必ず超えねばならない壁であり、同時に、この広い世界で唯一魂を通わせることができた、好敵手(とも)なのです。
いかがでしたでしょうか。 忠義に生きるシバマルの、静かなる情熱を感じていただけたでしょうか。
次回は、がらりと雰囲気を変えて、自由な冒険に生きる、あのお宝ハンターの物語に迫ってみたいと思います。彼女の好奇心は、一体どこから来るのでしょうか?
どうぞ、お楽しみに!

